会計と経営の七〇〇年史 – 田中靖浩

わたしたちが経営の基礎知識と思っている「簿記・会計」の考え方は、欧州中世14世紀のルネサンスが発祥だそうです。

「消費者」としてしか生活していない学生からすると、下記5つの仕組みってあまり馴染みがないと思います。

① 銀行
② 株式会社
③ 複式簿記
④ 減価償却
⑤ 連結決算

でもこれ知らないとビジネス的にはお話にならない。。。

ただ、、これを座学で知識として覚えても実感湧かない。。。

なので、iUでは、いち早く学生を起業させます。同世代のなかで誰よりも早く、ビジネス界のお金のやりとりを体感してほしいからですね。

会計を歴史と名画で解説

この「会計と経営の七〇〇年史」は、そんな体感せずとも、スッと頭に入ってくるように歴史を辿って説明してくれます。

それが、とてもわかりやすいし、知的興奮があって面白いです。

5つの仕組みって、同時に作られたわけでなく、その都度必要性があって発展したという観点がとても良い。

それも、14世紀以来の世界の覇権国の歴史を辿って。

順番で言うと

① イタリア
② スペイン
③ オランダ
④ フランス
⑤ イギリス
⑥ アメリカ

ですね。それぞれの時代の名画も一緒に関連づけて解説してくれてます。とても面白いす!!

さらに、時代の変化に影響を及ぼす日常の変化にも触れています。

① ペスト
② 胡椒
③ チューリップ
③ カトリックとプロテスタントなど、

会計は移動手段とともに発達した

いちばん印象に残ったのは、会計は移動手段とともに発達したという言葉です。田中先生が、会計の歴史を整理して発見したそうです。

馬や徒歩の移動銀行の発達(14世紀):旅先の拠点に銀行があれば、現金を持ち歩く必要がない。現金(昔は紙幣でなく、コインだからカサ張る)の代わりに手形が発明され、それを換金すればよい。その手形をやりとりする拠点として、銀行が発達。14世紀イタリアの金融業といえば、メディチ家。ちなみに、銀行の英語BANKの語源は、イタリア語のバンコだそうです。

株式会社の発達:新大陸(アメリカ)=新市場でビジネスチャンスを得るために、大きな資金が必要株式と株取引場の発達。スペインやオランダの大航海時代の始まり。新大陸アメリカで事業を行うには、遠いから時間かかるし、危険もある。なので、お金増やしたい金持ちと、一攫千金を狙う山師(起業家)の分業制が生まれました。それが、株式会社の仕組み。

鉄道=減価償却と連結会計:アメリカで鉄道が発達する。鉄道は事業開始前に、膨大な土地を買収しなければならないけれど、一度開通するととても儲かる。そのお金をリアルタイムで計上すると、最初は赤字で、開通した後は莫大な黒字。。それだとバランス取れないので、莫大な初期投資を、何年かに分けて費用計上することで、ビジネスの黒字を解消する。それが、「減価償却」っていう概念なんだそうです。すごい!

とにかく、14世紀から500年かけて作り上げられたお金勘定の仕組みが、よくわかって面白い本でした。オススメ。

著者は、田中靖浩先生(Twitter/X)。田中靖浩公認会計士事務所

iUで教えてくれないかなぁww