生成動画AIがもたらす映像ビジネスのイノベーション:ショート動画の衝撃

メディアは、テクノロジーのイノベーションと一緒に発展してきました。

W杯やオリンピックを見るために、より高精細なテレビが売れる。衛星放送が普及する。

メーカーも業界も、そんなイベントにあわせて新商品を売り出します。

また、VHSやDVDといった録画機器は、ホームビデオ市場という新たな収益源となりました。

コンテンツ資産を持っていれば、新たなテクノロジーが勃興し、メディアが出現すると、それは新たな稼ぎ場所となる。

これが、ハリウッドの黄金パターン。コンテンツウィンドウ戦略ですね。

むかし、そんなこと書いたなと思い探してみたらまだありました。

ロックメディア「コンテンツ・ウィンドウ戦略概論1」(2008年3月)

1990年代以降、彼らが巨大化したのは、10年毎におきたテクノロジーのイノベーションの波にのったからでした。

前回、動画生成AIが、大量に動画を作るという話をしました。

ハリウッドは今回もこの波に乗れるのか?

問題は、今回のイノベーションが、メディアではなく、クリエイター側に起きてる変化という点です。

メディア(ウィンドウ)が増えれば、一つのIPをマルチユースできます。

ところが、生成AIは、メディアでなく、クリエイティブのイノベーション。

2010年以降、YouTubeやTiktokといったプロの作り手ではないユーザーが作り手として映像市場に流れ込んできました。

今回は、その流れがさらに強まる動き。無人化です。

クリエイターがハリウッドの外側から出てきてしまうと、ウィンドウ戦略もあまり効きません。。

クリエイターが作って、ビジネスパーソンが売る。このパターン・構造は変わらないでしょう。

ただ、登場人物が変わるだけです。

プロに代わって、YouTuberやインスタグラマー、そしてAIに。

お金を稼ぐ装置は、テレビからYouTube、そしてショート動画アプリに。。

そんな動きを考えると、この50年ハリウッドが中心だった動画の市場構造が、根源的に変わる可能性を秘めています。

ShortTV:勃興する中国のショート動画アプリ